設立の趣旨
わが国民の生活水準の向上及び世界的な医学薬学の進歩は、わが国民の平均寿命を年々延ばして来ておりますが、とりわけ医学薬学の進歩は、われわれの福利厚生に対し絶大な寄与をしてまいりました。
ところが、最近の学会においては、医療の進歩は著しいものがあるが、まだまだ未解決の分野が多く残されているとも言われております。
疾病に対する医学的治療法としまして、内科療法・外科療法・心理療法・物理療法・放射線療法・薬物治療法など多くの方法が現に行われておりますが、その中でも薬物治療法はあらゆる医学の分野に用いられている治療法の一つであります。薬物治療法、即ち薬物治療に関する科学(医学)的方法が必ずしも確立されているとはいえない現在、薬物治療法の確立及び臨床薬理学の進歩が待たれるところであります。特に、薬物の、作用メカニズムの解明、動態の研究、最適使用法の発見、及び服薬法の改善など、臨床薬理学の分野における一層の学術研究の進歩が、強く待たれるところであります。
臨床薬理学の進歩は全人類の切実な要請でありまして、その進歩・発展のためには、世界的な臨床薬理学の研究の振興及び研究者の国際的な交流が、より一層重要にして必要であると思われます。
この臨床薬理学に関する研究は、長期にわたり、しかも多額の研究資金を要するとされておりますのに、こうした研究の主な担い手である大学や医療研究機関においては、財政的な制約もあって種々の不便を生じているのが現状であると言われております。
このような現状に鑑みますとき、人類の疾病に対する薬物による予防と治療方法に関する学術研究に対しまして、ささやかではありますが助成を行い、その振興を図る目的のため、横山藤逸がその私財その大半を提供しまして、ここに横山臨床薬理研究助成基金を設立することにしたのであります。
当財団の活動を通じまして、臨床薬理学の研究の進歩・発展及び研究者の国際的な交流の促進にいささかなりとも支援ができ、ひいては人類の健康・福祉の向上に貢献できれば幸いであると思います。
以上をもちまして当財団設立の趣旨とするものであります。